シンガポールにある Canadian International School (以下 CIS) は、2 つのキャンパスを備え、およそ 3,000 人の生徒の学びの場となっています。CIS は、多様性と学究における厳格さにおいてシンガポール屈指の教育機関であり、国際バカロレア校でもあります。
教育機関として成長し続けるなかで、CIS は、アプリ群の重複を解消するとともに、複数のシステムにわたるプロセスを合理化する必要がありました。そのためには、サイロ化したアプリ内のデータを解放し、スタッフの手作業を軽減することができる統合プラットフォームが必要でした。Workato の導入により、CIS で次のことが実現されます。
- 俊敏な最新のワークフローへのレガシー アプリの接続
- 学究計画プロセスの合理化
- 手作業によるデータ入力の削減とデータ品質の向上
- NetSuite の複雑なレコードと生徒管理システムとの同期 (レコードごとに 2 分未満で同期)
- 80,000 件のレコードのアプリ間の同期の所要時間を 2 時間半から 30 分未満に短縮
多数のレガシー アプリ内のデータのサイロ化の解消
CIS は、クラウドベースの ERPシステムとNetSuite を情報ハブとして使用しています。「これは本校のアプリケーション群を支える重要な基礎の 1 つです」と、CIS の IT 部長、Manish Madan 氏は言います。「本校の財務システムであり、入学システムであり、さらには内部購買システム として機能しています。」
その他に、CIS は教育専用のシステムをいくつか使用しています。「人口統計情報や生徒の個人情報などに使用する生徒管理システムもあります」と、Madan 氏は説明します。「また学習管理システムもあり、さらにイントラネットを設置した情報ポータルも使用しています。本校の教師、生徒、保護者は皆、このシステムからログインします。このシステムは、本校のすべての関係者がさまざまなアプリケーションのすべてにアクセスできるようにするシングル サインオン ポイントとして機能しています。」
これらの異種システムの存在が CIS の課題となっていました。「CIS の課題の 1 つは、レガシー システムがいくつも蓄積されていることです」と、Madan 氏は言います。「多くの場合、これらのシステムは機能が重複していました。つまり、本校はさまざまなシステムに投資しながら、それぞれの投資から最大限の利益を得ていなかったのです。」
また、アプリには重要な情報が含まれていましたが、各アプリがサイロ化しているために、システム間でデータを最新の状態に保つことが困難でした。「これらのさまざまなシステム間でデータの二重入力が多数行われていました」と、Madan 氏は言います。「システム間で機能の重複が多かったのと同様に、データ セットも重複していました。そのため、しばしば同じデータを複数のシステムに供給する必要がありました。スタッフは、これらのシステム群にデータを二重入力する作業に追われていました。」
また、これらのシステムを横断するワークフローの調整も困難でした。「私たちの中心的な課題は、システムの境界を越えるビジネス ワークフローの処理でした」と、Madan 氏は説明します。「ビジネス ワークフローは 1 つのシステムまたはアプリケーションのコンテキスト内に存在するのではなく、アプリケーション アーキテクチャ全体のデータや機能の組み合わせを必要とすることが多い、ということに気づきました。」
MuleSoft から Workato への移行
CIS は、さまざまなアプリとシステムを最大限に活用するためには、統合が必要であることを認識しました。当初 CIS は MuleSoft を使用していましたが、すぐに、よりスピーディーに開発から稼働までができるプラットフォームが必要であることに気づきました。
そして、コンサルティング会社に相談し、最終的に Workato を選択しました。「Workato の導入は、本校が 組織内のシステム統合とワークフローを構築するというビジネス ニーズを満たし、複数のプラットフォームへの投資を積極的に活用しながら個々のビジネス課題に対処できるようにするための戦略的な取り組みでした」と、Madan 氏は語ります。「IT 投資を最大限に活用するための、まさに核となる推進要因であり、戦略的な取り組みだったのです。」
Workato を使用した NetSuite と教育システムの接続
コンサルタントの支援の下に、CIS は Workato を使用して各種システムを接続する計画を立案しました。特定のトリガーに基づいてアプリ間でデータを同期する統合レシピをいくつか作成しました。
プロセスを簡素化するために、CIS は Workato の組み込みの NetSuite レシピを活用しました。「すぐに使用できる Workato で既に準備されているサンプルのレシピが大いに役立ちました。おかげで、すべてをゼロから作成する手間が省かれました」と、Madan 氏は語ります。「組み込みのレシピとトリガーを使って、NetSuite に取り込まれたデータが生徒管理システムに自動的に同期されるようにしました。」
CIS はまた、NetSuite、人事アプリ、および生徒管理システム間でデータを同期するレシピも使用しています。
データ品質の向上と従業員の負担の軽減
これらの統合は CIS 全体のプロセスに大きな影響をもたらしました。Workato を通じて、CIS のスタッフは、入学サイクルから家族や生徒の希望の追跡まで、あらゆるデータに完全にアクセスすることができます (またデータの信頼性も確保されています)。
特に、統合によって学年度の計画プロセスが合理化されました。Madan 氏は次のように説明しています。「本校の次年度のスケジュールを講師たちに計画してもらっています。したがって、そこには教師の見地という面があります。この計画プロセスには、入学システムのデータに加え、人事システムのデータと学究システムのデータも必要です。このプロセスを自動化し、保護者、生徒、従業員に一貫した全体像を提供できるようにしたことは、本校にとって非常に大きな価値があります。」
こうした明らかなメリットに加えて、統合は見えにくいメリットも CIS のスタッフにもたらしました。「これらの統合がなければ、従業員は手作業に追われて、各自の専門分野に集中することができなかったでしょう」と、Madan 氏は言います。「これは質的な測定基準ですが、非常に重要です。従業員には、データ入力に時間を費やすのではなく、各自の専門分野に集中してほしいと思っています。」
全体的に、統合によって、アプリ間のデータ同期の所要時間が大幅に短縮されました。「NetSuite の各生徒レコードには、およそ 150 のフィールドがあります」と、CIS のシニア システム アナリスト、Vincent Goh 氏は言います。「これらのフィールドを生徒管理システムに同期するには、複雑なデータ チェックをいくつか実行する必要がありますが、Workato はこれらのチェックの実行と個々のレコードの同期を 2 分未満で完了することができます。多くの場合、1 レコードあたりの処理時間はわずか 30 秒です。」
CIS のスケジューリング アプリから生徒管理アプリへの情報の同期もより高速になりました。「毎日 80,000 件のレコードを同期する必要があります」と、Goh 氏は説明します。「これまではこの同期に 2 時間半かかっていましたが、Workato 導入後はわずか 20 ~ 30 分で完了しています。」
さらに、Madan 氏は、組織全体でデータの品質が向上したことについても述べています。「エンタープライズ内で多くのデータがサイロ化していると、手作業による入力が必要なことと、入力データが不完全であることによって、データ品質が大幅に低下します。データの正確さと適時性に基づいてデータの品質を測定した場合、統合を行っていなければはるかに悪い結果になっていたでしょう。」
この意見に同調するように、Goh 氏も次のように述べています。「Workato の導入後はデータの問題がなくなりました」と、氏は語ります。「データをクリーンアップするためのパッチをシステムに適用したいユーザーを支援する作業に、多くの時間をとられることがなくなりました。IT チーム、そして他のスタッフも皆、大いに助かっています。」