すでにサービスとしての統合プラットフォーム (iPaaS) を利用してアプリケーションとデータの統合を行っている多くの組織が、いまだ API 管理システムを同時に使用する必要性に納得していません。しかし、どちらのプラットフォームも互いに異なる機能を持ち、別の目的を果たします。では、これらのプラットフォームの違いは何でしょうか。
次世代の自動化はこれだ!
Download whitepaperAPI 統合 (iPaaS) と API 管理
大まかに言えば、iPaaS とは、クラウドまたはオンサイトのアプリケーションのあらゆる組み合わせをつなぐプラットフォームです。iPaaS を利用すると、企業は個別のアプリケーション、システム、ウェアハウスから収集したデータをまとめて、ビジネス プロセス ワークフローを作成できるようになります。
API はこのプロセスを API 統合によって支えます。たとえば、顧客関係管理 (CRM) システムとエンタープライズ リソース プランニング (ERP) システムのデータをやりとりする場合、Workato のような最新の iPaaS は各システムの API を公開するか、API を作成します。
最新の iPaaS の価値はそのインテリジェンスにあります。絶えず向上を重ね、統合パターンを認識し、フィールドのマッピングなどさまざまなタスクに関する提案を行いますが、DevOps は一切必要ありません。
ただし、API 作成と API 管理はまったく別のものです。API 管理システムを利用すると、企業は一元管理やバージョン管理、細やかに調整されたセキュリティを通じて、安全な環境で継続的に API の構築、管理、拡張を行えるようになります。強力な API 管理システムは、共同作業を可能にするほか、顧客情報などの必要なデータや、組織全体の注文データへのより迅速なアクセスを、適切なアクセス ポリシーによって実現できます。
ここで、「両方とも必要か?」という非常に難しい質問に戻りましょう。関連記事 : ビジネス プロセスの統合による 5 つのメリット
統合と API 管理の融合 : 両方の長所を兼ね備える
端的に言えば、答えは「イエス」です。作成した API を管理しなければ、データ侵害や慢性的なシステムの異常、業務の非効率性といったリスクを冒すことになります。また、これらの問題の原因を特定することも難しくなるでしょう。
そのため、適切なガバナンスの枠組みによって安全に管理されていながらも、社内はもとより外部のパートナーにまで共有可能な、一貫した上質なデータ リポジトリに対する強いニーズがあります。
iPaaS と API 管理の総合的アプローチを取ると、内部と外部のパートナーが、基になるアプリケーションやシステムに直接アクセスしなくても、クラウドネイティブのエンタープライズグレード API 管理システムから、ワークフロー、サービス、データを利用できるようにすることが可能になるため、インテリジェントな iPaaS インフラストラクチャを強化できます。
関連記事 : データを統合する 5 つの方法
API を使ってビジネス プロセスを実行
iPaaS に直接組み込まれている API プラットフォームを使用すると、あらゆるビジネス プロセスの自動化を、関係者がいつでも利用可能な API エンドポイントに変換できます。
それらの API が複数の部門によって容易に再利用できる場合、あるいはボットや外部ポータル (パートナーのポータルなど) といったさまざまな形式へと統合される場合は、その可能性が一気に広がり、セキュリティを損なうことなくデータやサービスへのアクセスの範囲が拡大します。Salesforce の分析データなどのサービスを共有したい場合は、自動化プロセスを一度だけ構築して、それを API エンドポイントに変換し、適切な関係者に必要なデータを公開することで、その導入を大幅に促進できるようになりました。
Protect data acrAPI 管理で複数のシステムにわたってデータを保護
システムに直接アクセスできるようにすると、機密情報をさらしてしまう危険性が高まります。代わりに、API 管理を利用してデータを共有できます。オンプレミスやクラウド上の重要データと安全に通信する API 管理なら、自分が公開したエンドポイントから、データを完全に制御された方法で共有することが可能です。たとえば、ユーザーにシステム内の注文の取得を許可する一方で、作成は許可しないということもできます。
以下に、API 管理がデータの保護に役立つ理由をさらにいくつかご紹介します。
- システムへの他からの接続は一切ないため、分散型サービス拒否攻撃から保護されます
- アクセスの制限、クォータの設定、レート制限の使用によって、機密システムを保護できます
自動化ワークフローを一度構築すれば、さまざまな形で再利用可能
API 管理によって、API マイクロサービスを再利用することも可能になります。つまり、ユース ケースごとに自動化やレシピを新たに構築し直すのではなく、ワークフローを一度構築して、それを API 管理に追加するだけで済むようになり、後は API 管理によってデータ アクセス レベルが制御されます。
その結果導入が促進され、API が最大限に活かされるので、ユーザーは新しいビジネス ユース ケースの創出に集中できるようになります。
開発者以外にも対応したローコード統合開発
iPaaS と API を兼ね備えたプラットフォームを単一環境に導入することで得られるこれらのメリットによって、開発者以外の人 (ビジネス アナリストなど、すでにそのビジネス プロセスに慣れている人) にとって、使用する API の作成や修正が極めて容易になります。
これは、コストの削減や開発に要する時間の観点から大きなメリットといえます。必要なソリューションを得るために従業員の雇用や研修、あるいは既存従業員の再教育に何か月も待つ必要がなくなるためです。iPaaS によってビジネス ロジックやプロセス自動化の処理が行われ、API プラットフォームによってそのガバナンス、品質管理、配布の処理が行われます。
API ガバナンスの管理と合理化が簡単に
あらゆるメリットの中でおそらく最も過小評価されているのは、iPaaS 内での API 管理が、内部・外部での使用に対する API の整理、ポリシーの管理、アクセス制御の設定、使用量クォータの監視に関して、大幅な時間の節約をもたらすという点でしょう。
2 つのソリューションを単一プラットフォームにまとめ、データ アクセスを一元化することで、チームがログやパフォーマンス指標を監視し、必要に応じて即座にデバッグを行うことが容易になります。